国宝を訪ねて 国宝建造物編12

安楽寺

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 老いの眼に 観る日のありぬ 別所なる
          唐風八角 三重塔

窪田空穂
山号・寺号 崇福山安楽寺
所在地 長野県上田市別所温泉
起点駅・目安時間 長野新幹線上田駅・40分
経路 上田交通別所線別所温泉駅・徒歩10分
国宝建造物 1 八角三重塔
国宝仏等 なし
その他の国宝 なし
お勧め度 ★★★

国宝・安楽寺八角三重塔

信州の鎌倉・別所温泉

 上田駅から千曲川の清流を渡り稲穂が波打つ「塩田平」の中を,ワンマン電車が30分ほど分け入るとやがて別所温泉駅に着く。
 温泉町の駅の割には周りに何もない。10分ほど何の変哲もない通りを登っていくとやがて温泉街にたどり着く。ここまで来てやっと,温泉町の雰囲気がでるが,これといった渓流があるわけでもなく,森閑とした杜に抱かれるのでもなく,よくある温泉街とは雰囲気が違う。
 しかし,町の中心当たりから右手に「安楽寺」,「常楽寺」,左手に「北向き観音」と標識が出ていることからすると,狭い町の割には社寺が集まっているようである。
 安楽寺へは,温泉旅館の厨房らしき横に「葷酒山門に入るを禁ず」と大きな石碑のある山門を潜るところから始まる。

墓に囲まれた国宝

 右手には蓮の葉が広がる池を,左手には紫陽花を見ながら参道を進むと,やがて両側を老杉の大木に挟まれた石段にたどり着く。それを登りきると,少し平地が広がり境内に出る。
 受付の箱に,100円を投入し,早々に塔に向かう。しばらく歩を進めると,塔が見えてくる。国宝八角三重塔だ。石段の下から見上げると,まるで,きのこの裏側を見ているようである。
 石段を登りきると,想像もしない風景が眼に飛び込んでくる。なんと国宝の周りを墓が囲んでいるのである。それぞれの寺に事情というものがあるのだろうが,これはない。檀家にしてみれば,お墓参りの度に国宝が鑑賞できるし,将来は国宝を毎日ながめられる,評判は決して悪くはないだろうが,いかがなものか。
 この塔は,現存する唯一の八角三重塔である。四重塔のように見えるが,最下層は裳階(もこし)である。

           蜩(ひぐらし)の声二つ三つ八角堂 (秋雨)

霊園に向かって階段を昇り始めると塔が見え始める。
回りは墓,墓,墓。 
裏山から三重塔をのぞむ。 
垂木と組み物が見事である。 

近くには,北向き観音

 別所温泉には,善光寺と関連が深い「北向き観音」がある。善光寺だけ参詣し,ここを飛ばすとそれでは「片参り」になると言われている。そう言われると参らざるを得ない。
 この観音へは,町のヘソと思しきところから,狭い石段の路地を下りなければならない。この路地の両側には,土産物屋や食事処,喫茶店等が所狭しと軒を連ねていて,本当に小さな路地となっている。しかし,侮る無かれ,この路地,日経の土曜版に連載中の「何でもランキング」「二人で歩きたい道」の堂々18位にランクインされたことのある由緒ある通りである。京都,金沢,函館と全国有数の散歩道と肩を並べているのである。

 北向き観音の境内には,あの「愛染桂」の舞台となった桂の巨木がある。また,観音参りの際の手水舎の水は驚いたことに源泉たれ流しである。
 
 塩田平の僅かな平地に名にし負う寺々が集まっている。
 確かに,鎌倉のにおいがする。

真田十勇士

 上州上田と言えば,真田氏,真田氏とくれば,猿飛佐助,霧隠才蔵らの活躍する真田十勇士の話が思い出される。他には,三好青海入道,根津甚八もいる。胸をワクワクさせた,ネーミングもきまっている彼らの出自はハッキリしない。大阪の立川文庫が出版していた本がヒットしたもので,原作者と言われる人はいないようだ。
 真田氏で思い出されるのは,やはり真田騒動であろう。
 池波正太郎「真田騒動」(新潮文庫)は,時代小説に共通してはいるが,風景描写などは極端に少ないものの,なんとなく上田の情景が伝わってくるから不思議。
 真田もの短編5編からなる中「錯乱」は直木賞受賞作。
 主人公平五郎は,親子2代にわたる隠密。その諜報活動につき,どんでん返しにつぐどんでん返しの物語。

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