国宝建造物編13| 山号・寺号 | 大法寺 |
| 所在地 | 長野県小県郡青木村当郷 |
| 起点駅・目安時間 | 長野新幹線上田駅・1時間 |
| 経路 | 上田駅から上田交通別所線別所温泉駅下車・タクシー10分 |
| 国宝建造物 | 1 三重塔 |
| 国宝仏等 | なし |
| その他の国宝 | なし |
| 推奨度 | ★★★★ |
細く長くそしてゆるやかな参道を登っていく。三重塔はなかなか姿を現さない。
境内へのとっかかりと思しき細い石段にたどり着く頃やっと,塔の最上部に付けられた「水煙}が揺れているように見える。水煙とは,炎をデザインした金属製の装飾であるが,木造建築物は火を嫌うことから水煙と呼ばれる。
その水煙の下から少しずつ屋根が見え始め,数段の石段を登り詰めると,国宝の全容が見る。
美しい。思わず 眼を見張る。
声も出ない。
佇む。
国宝三重塔は,その優美な姿を真夏の光の中に輝かせていた。水煙は,まるで天女がその薄い羽のような衣をまつわりつかせて優美な舞を舞っているようにも見える。
天女の住処のような墨色の塔が,夏の陽光をうけて浮かんでいる。
塔の手前には,サルスベリの赤い花が風に揺れている。脇には,塔と同じくらいの高さの杉の老木が数本佇立している。
ここまで来た甲斐があった,と思う。
それほど美しい塔である。
「見返りの塔」とも呼ばれているが,なるほど,その命名もうなずける。塔の中では最も印象に残るものの一つである。
これほどまでに優雅な姿の塔は,山口の瑠璃光寺(bP10)くらいではないだろうか。
塔のすぐ後を山道が巻いているが,そちら側に回り込んで,後ろ姿を見下ろすこともできる。
八束穂の先に麗し三重塔 (秋雨)
この大法寺の三重塔は,興福寺のそれにきわめて類似するが,それもそのはず同一人物が棟梁としてこれらを建立している。
「信州の鎌倉」と呼ばれる別所温泉の近くにあるので,一度,別所温泉に出てから安楽寺(bP2)を鑑賞し,そこからタクシーを利用するのが一番便利である。
| 裏山に登り振り返ったところ。かつてこの道はどこに続いていたのだろうか。 | |
信州の人情,雰囲気を伝えるに絶好の読み物といえば,南木佳士「阿弥陀堂だより」(新潮文庫)がある。
この寺に,阿弥陀堂があれば,ピントピッタリの紹介となるのだが,そんなにうまくはいかない。
物語は新人賞受賞後2作目が書けない作家と精神を少し病んだ女医が,夫の出身地信州の村に移り住むことから始まる。
その村はずれで,村の阿弥陀堂を守り住む老婆との交流を通して,徐々に都会の生活で忘れていたものを取り戻す。
寺尾聡主演の映画も,雰囲気を伝えている。
なお,原作者の南木佳士は南信州で医師として活躍するかたわら,芥川賞受賞作の「ダイヤモンドダスト」をはじめ信州を舞台とする小説を沢山書いている。
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