国宝を訪ねて 国宝建造物編28

常楽寺

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山号・寺号 阿星山常楽寺
所在地 滋賀県湖南市石部町西寺
起点駅・目安時間 京都駅・1時間
経路 東海道本線草津乗換・草津線石部駅下車・タクシー10分
国宝建造物 2 本堂・三重塔
国宝仏等 なし
その他の国宝 なし
お薦め度 ★★★


国宝・常楽寺本堂及び同三重塔

宗派の違い

 常楽寺は,阿星山五千坊の一つであり,近江西国霊場33箇所めぐりの一番札所である。
 近江西国霊場めぐりの札所となっている寺院は,観音信仰の一つとして,延暦寺周辺の天台宗の寺院が多いが,真言宗や臨済宗等の寺院もある。
 宗派が異なるのは一見奇妙であるが,これは,観音様すなわち観世音菩薩が,妙法蓮華経(法華教)の中に書かれ,この妙法蓮華経は様々な宗派の拠り所となる経典の一つとなっているから,さして奇妙なことではない。
 そう考えると,巡礼をする人の中に色々な宗派の人が混在していても何ら不思議ではない。ましてや,33の姿に変えて救済を求める全ての者の前に必ず姿を現すという観音様は,そのようなことを一向に気にかけない。

 私たちは仏教内の宗派をいつしか極めて排他的なものと捉え,各宗派間には常に対立と争いがあると考えがちであるが,日本仏教内の宗派は,もともと学問研究のいわばグループのようなものであり,あくまで仏教という大きな宗派の中にあることを忘れてはならない。
 天台宗と真言宗の違いは,キリスト教とヒンズー経の違いとは質的に異なるのである。

日本各地の巡礼地

 近江西国霊場33箇所めぐりのような霊場巡りは,この他にメジャーなところで四国88カ所を筆頭に,西国巡礼33カ所,板東33カ所,秩父霊場巡り,等があり,マイナーなところでは,この近江西国霊場33箇所をはじめ,知多西国霊場88箇所など数えあげるとキリがない。

 注意しなければならないのは「近江西国霊場」と「西国巡礼」は,異なるということである。
 近江西国霊場はその名のとおり琵琶湖周辺の寺院がほとんどでかなりマイナーなもの。一方,西国巡礼となると,京都,大阪を中心に岐阜県,兵庫県と範囲が一段と広くなり、巡礼者の多いかなりメジャーなものである。
 
 これら諸寺めぐりは,いずれも,空海その他の高僧が修業のために歩いた道やそのゆかりの地を訪ねるものだが,最近では信仰というよりも,歩き6,信仰4ぐらいの人が多い。中でも四国88カ所は特に人気が高い。
 そんな中で,この近江西国霊場めぐりは,時代から取り残された風景や人情,風情がそこかしこに残り,古の近江人の暮らしぶりを振り返ることができそうな情緒溢れる巡礼である。
 なお,近江西国霊場の中で国宝建造物を有する寺は,この常楽寺の他に,石山寺(bQ3),三井寺(bQ4),金剛輪寺(bR3)がある。その意味では決してマイナーな巡礼ではないといえる。この近江西国霊場を紹介するものとして
相馬大「近江33カ所」カラーブックス・保育社がある。全編に観音経の心地よい響きが散りばめられた,この種のものとしては秀逸の書である。

西寺あたり

 この常楽寺は,長寿寺(bQ7)の東寺に対し,西寺と呼ばれ近在の人々から親しまれている。この辺りは夏は木陰を,冬は日溜まりを求め,気の向くままに休憩をとりながら歩いてみたい山里がひろがり,そののどかな里の中にひっそりと佇む御寺が点在する。
 昭和の初期まではどこにでもあった田園風景がそのまま残されていて,野良着の人とすれ違うとき自然に軽く会釈を交わすことができる。 

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