国宝建造物編60 九品寺,九体寺とも
| 山号・寺号 | 小田原山法雲院(浄瑠璃寺) |
| 所在地 | 京都府相楽郡加茂町西小 |
| 起点駅・目安時間 | 近鉄・JR奈良駅・40分 |
| 経路 | バス40分 |
| 国宝建造物 | 2 本堂・三重塔 |
| 国宝仏等 | 2 阿弥陀如来座像・四天王立像(国宝仏編bQ3) |
| その他の国宝 | なし |
| 推奨度 | ★★★★★ |
京都,といってもほぼ奈良県との県境付近,当尾の山里にひっそりと佇む古刹。
その名の美しさに惹かれて訪れる人も多い。名前だけで人々を引きつける魅惑的な名の寺は他には秋篠寺(bV2),遠くは山口の瑠璃光寺(bP10)くらいであろうか。
バス停から,土塀と畑に挟まれた田舎道をゆっくり登っていく。崩れかけた土塀では,蜂が巣を繕っている。
昭和30年代までは,そこかしこにあった風景である。そんな感慨にふけりながら少し登っていくと,そこには紛れもない極楽浄土が広がっていた。
池を挟んで東方浄瑠璃界と西方極楽浄土とが向かい合う寺。
これまで訪れた優に百は越える寺の中で,一番美しい寺。
日本で一番美しい寺といってもよいであろう。
彼岸の陽は,朝には三重塔から昇り,日長この浄土に降り注ぎ,夕べには阿弥陀堂の反り返った屋根の端に落ちる。三重塔と阿弥陀堂の配置は彼岸を基準としている。
| この池を挟むようにして国宝本堂と三重塔が佇む。本堂の屋根がわずかに見える。 | |
| 国宝・三重塔 | |
その阿弥陀堂には,9体の仏像が行儀よく鎮座している。観覧の順路はあえて本堂の裏側からはじまっている。本堂をとりまく木々を見ながら順路に従ってすすむ。角を2つ,3つ曲がったところでお堂の障子を開けると,思わず息を飲む。
そこに安置された阿弥陀仏の御姿に圧倒され,宗教心ない者も思わず立ちすくむ。しばらくして気を取り直しうながされるように正座する。
やがて何事かこの御仏に語りかける。否,何事かが語りかけられるのではないかと期待し居住まいを正し待つ。無論,そのようなことはない。
運がいいと,住職のわかりやすい仏教や,仏像等の解説がある。
本堂を辞しても,なお去りがたく,池の周りをもう一回りする。
池越しに阿弥陀堂を眺めてみると,折しも夕日がその屋根のさらに奥の山の端に掛かり,西日は,阿弥陀様の優しさに触れた人々の顔を朱に染めながら落ちかけていた。
この浄瑠璃寺については,堀辰雄が,「大和路・信濃路」(新潮文庫)の中で,僅かに触れている。しかし,訪れたのは。昭和の初め頃で,今ほど手入れされていなかったからなのか,あるいは堀が異教徒のためなのか,何らの感慨も語られる事なく,実に気が抜けるほどあっさりとしたものとなっている。
行きか帰りには,岩船寺あたりまで脚を伸ばし,「当尾の里」を堪能したい。日だまりの中にポツンと取り残されたように石仏が,しかし,里人の暖かいもてなしの中に,そこかしこに置かれている。
JR関西線加茂駅までのよいバスがあれば,それで一気に海住山寺(61)に向かいたい。しかし,バスの便は奈良行きが圧倒的によい。
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