国宝を訪ねて 国宝建造物編61

海住山寺

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 今造る 久邇の都は 山川の
      清けき見れば うべ知らすらし

大伴家持・万葉集巻6ー1037
山号・寺号 補陀落山海住山寺
所在地 京都市相楽郡加茂町例幣小
起点駅・目安時間 京都駅・60分
経路 JR奈良線木津駅乗換関西本線加茂駅・タクシー15分 
国宝建造物 1 五重塔
国宝仏等 なし
その他の国宝 なし 
お薦め度 ★★★


 

 国宝・海住山寺五重塔

田圃の中の国宝

 加茂駅からバス,若しくはタクシーでバス停岡崎までゆく。後は,のんびり草いき

れのする8月の田圃の中の田舎道を歩く。
 途中,海住山寺手製のものと思われるほのぼのとした案内標示に従う。大和の里の残された少ない田舎道を歩いて行く。田圃をわたる風が心地よい。

 目指す寺はあのあたりかと見当を付けるが,それらしい建物は,なかなか現われない。
 疲れが少し感じられるようになるとようやく,参道の取付けらしきところに到着する。迷ったのか,との不安を取り除くかのように,大きな看板や道標が現れるが,寺の気配はなかなか伝わってこない。
 バス停から歩き始めて,30分ほど。ようやく山門にたどり着く。
 深緑の中を渡ってきた涼しげな風が,頬に心地よい。
 寺伝は,聖武天皇の勅願寺であり,良弁僧正の創設と伝える。

名も無き里にひっそりと佇む五重塔。近在の人々の心のよりどころだ。
 

鎌倉時代唯一の五重塔

 はやる気持ちを抑えゆっくりと急な石段を登ってゆく。塔の頭が見えはじめ,やがて1層,2層の,そして5層の全容が見えてくる。
 いかに国宝とはいえ,こんな辺鄙な田舎の寺には,参拝客はいないのではと思ったが,それでも7,8人の見物客がいたのには驚ろかされた。
 中国地方や四国地方は無論のこと,滋賀県の国宝建築物ですら,見物客を一人も見かけない所は多いのだが,さすがに観光地京都・奈良である。
 そんな事を考えながら,国宝の五重塔の周りを3回ほど周り,それでもと思いもう一周する。

 塔は,朱塗りが剥げかけていて,それが,風雪に耐えた証のようで好ましい。欄干は木の筋が浮き上がっていて痛々しいがかえって雄々しいとも言える。
 その後,本堂を拝観する。
 ここ海住山寺には結構な数の文化財が保存されていて,寺のおばさんが色々説明してくれる。鎌倉時代に風呂として用いられた石船なども残されている。

久邇(恭仁)京あたり

 聖武天皇は740年に都を奈良(平城)から,この海住山寺の眼下に広がる田園地帯に移している。久邇京である。しかし,4年後にはさらに難波に移したので,久邇京の造営期間は至極短い。そのためか往時を偲ばせる建物や遺跡はほとんど残っていないが,加茂駅からバス停岡崎に向かう時に渡る大きな橋は「恭仁大橋」と名付けられ,その辺りの地名にわずかではあるが名残を見い出すことができる。

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