国宝建造物編90| 山号・寺号 | 高野山金剛峯寺(こんごうぶじ) |
| 所在 | 伊都郡高野町高野山 |
| 起点駅・目安時間 | 新大阪駅・3時間 |
| 経路 | 難波から南海特急こうや極楽橋乗換高野山ケーブル・バス |
| 国宝建造物 | 2 不動堂・金剛三昧院多宝塔 |
| 国宝彫刻等 | 2 諸尊仏龕・八大童子立像 (国宝仏編bS6) |
| その他の国宝 | 19 (その他の国宝編bT7) |
| お薦め度 | ★★★★ |
空海の開祖になる高野山金剛峰寺は,真言密教の総本山である。
高野山にはかつては,七千を超す坊があったとも言われるが,現在でも優に100を越える,塔頭,坊が建ち並び,一大宗教都市を作り上げている。
この高野山は,その山内を金剛峯寺,壇上,奥の院の3つに分けることができるが,高野山の中心は,壇上である。国宝も多くここに集中している。
奥の院には,弘法大師の廟がある。
高野山の開祖空海は,最澄と並び称される仏教界最高の伝道者であるが,日本仏教界に与えた影響という点からすると,最澄には遠くおよばない。
最澄は,後に日本仏教界に燦然と輝く多くの弟子を育成,輩出したが,大師様,弘法様,と民衆にひろく慕われているのは,空海である。
最澄とは偶然にも同じ年に同じ船で入唐(にっとう)したが,その後両者の歩んだ道は大きく異なる。
理由は,色々考えられるが,最澄は,それまでの仏教が一部の特権階級の教養や研究対象としての面が強かったのに対して,仏教教義を大衆に分かり易く,参加し易いようにした点に求めることができる。そして,多くの弟子がそれに帰依することになる。
これに対し空海は,あくまでも修行を中心とする教義を維持し,教義に呪術的要素を加えることにより,自分にない能力や霊力に対し憧れ畏怖する心情を有する大衆の熱狂的な支持を得ることになる。
真言宗は,天台宗と比較すると桁外れに信者が多いが,最澄の育てた高僧の草創にかかる宗派を加えるとそれには遠く及ばない。
開祖空海を主人公とした小説の代表となるとやはり,司馬遼太郎「空海の風景」(文春文庫)になるだろう。
空海と杳として定まらない当時の茫々たる時代背景を,風景として想像しながら描くという,小説というより,想像を交えた報告文の体裁をとっていて珍しい文体となっている。しかし。それが十分に成功していて,かえって信憑性があり,妙に引き込まれる。
全編を通じて,当時の仏教界や大陸文化との交流が壮大なスケールで描かれるが,最澄と空海との帰国後の緊張関係は,読む者にこの上ない臨場感を提供する。
その他,高野山といえば,すぐに思い出されるのが,泉鏡花「高野聖」(岩波文庫)である。
諸国を行脚する高野山の修行僧が,自己の恐ろしい体験談を,宿に泊まりあわせた旅人に話して聴かせるというもの。読み進むうち,こんな映画昔見たことがあるという人も多いと思われる。
なお,昔は「高野聖」というと街道筋で通行人や旅人相手に様々なイカガワシイ品を売り生活する者の意味でもあった。
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