国宝を訪ねて 国宝建造物編93

善福院

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山号・寺号 宝遊山善福院
所在 和歌山県海草郡下津町梅田
起点駅・目安時間 大阪駅・2時間30分
経路 JR紀勢本線加茂郷駅・徒歩45分
国宝建造物 1 釈迦堂
国宝彫刻等 なし
その他の国宝 なし
お薦め度 ★★

国宝・善福院釈迦堂

臨済宗・開祖栄西

 栄西(えいさい・ようさい)の創建とされているが,詳しくは不明である。栄西の創建ならば,臨済宗,と思いがちであるがそうではない。天台宗である。
 もっとも,当初は臨済宗宝遊山広福禅寺として創立されたれっきとした禅宗寺院であったが,その後高野山の保護をうけ,さらに天台宗へと数度の改宗がなされるが,現在の善福院はその広福禅寺の子院の一つであったようである。

 このように善福院は度重なる改宗を余儀なくされたが,寺がそんなに簡単に宗派を変えることができるのだろうかと疑問も湧くが,このような例は枚挙にいとまがない。
 日本仏教界の各宗派を分かつ分水嶺は,そのよりどころとする教典を主として何に求めるかによるのであるが,例えば,法華教を主たる教典とするのは日蓮宗であるが,驚いたことに曹洞宗でも最も重要な教典の一つに数えられているのである。
 このように仏教内の各宗派は,たとえ水と油のように相容れない様にみえてもその対立は決して,イスラム教とキリスト教のような排他的なものではないのである。

小さな町の二つ目の国宝

 海岸線に沿った大きな道路を曲がり山に向かって直進する。しばらくすると案内が出てくる。それに従ってくねくねと山道を上がると,白い築地塀から上半身が飛び出た御堂が目に入る。善福院釈迦堂である。
 山の斜面を削り取って建てられたためか境内は狭く,国宝が道路脇に佇立している。国宝建造物の中では,恐らく最も一般道路に近い位置にある建物と言えるだろう。堂を取り囲む高い木々からは蝉の声が聞こえてくる。

 国宝釈迦堂は,鎌倉時代の建築で桁行,梁間ともに3間の一重裳腰付寄棟造りの純禅宗様式二重仏殿である。中には本尊の釈迦入来座像が祀られている。

 誰もいない境内に一歩踏み入れれば,喧しい蝉時雨がピタリと止み,しばしの静寂が訪れる。瞬間,お寺の境内で日長遊んだ夏休みの頃が思い出される,そんな山里の寺である。周りには虫取り網をもったランニングシャツの少年が今にも飛び出してきそうな田舎の風景が広がっている。紀州の海が見えるかと思い高いところに登ったが山陰が邪魔をして見えなかった。海は近いはずなので,この辺りの海は深く落ち込んでいるのだろうか。
 
 この人口僅か1万5千人の海辺の町には,善福院の他に長保寺(bX2)にも国宝建造物がある。
 全部で僅かに124カ所にしかない国宝建造物のうち複数の国宝を持つ同様の町(市は除く)はあまりなく,他には
 
 長楽寺と常楽寺の滋賀県甲賀郡石部町
 御上神社と大笹原神社の滋賀県野洲郡野洲町
 浄瑠璃寺と海住山寺のある奈良県相楽郡加茂町
 
法隆寺と法起寺の奈良県生駒郡斑鳩町,の4町だけである。

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