国宝を訪ねて 国宝建造物編95

朝光寺

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山号・寺号 朝光寺
所在 兵庫県加東郡社町畑
起点駅・目安時間 姫路駅・1時間30分
経路 JR山陽線加古川駅乗換え加古川線社町駅下車タクシー
国宝建造物 1 本堂
国宝彫刻等 なし
その他の国宝 なし
お薦め度 ★★★

仏教文化のふるさと

 兵庫県にひろがる播磨平野は,仏教文化のメッカである。
 この兵庫県内には神戸の太山寺(bX4)の他,この朝光寺を始め,一乗寺(bX6),浄土寺(bX7),鶴林寺(bX8)と国宝寺院が目白押しである。
 しかも,それらは播磨平野に集中している。
 国宝こそ所有していないものの西の比叡山といわれる円教寺も控えている。

 この地域を訪れる度に,奈良・平安の歴史にはほとんど名前が出ることはないこの地にどうして国宝指定されるような重厚な建造物や荘厳極まりない仏教美術品の数々が残されているのか,疑問に思う。

 稲美あるいは印南美といわれる現在の加古川市を中心とする播磨平野付近は,かつて海と陸の交通の要衝として栄えた。

 また,この辺りは,今でこそ播磨臨海工業地帯と呼ばれ大小の煙突が林立する乾燥した地域が連続するが,少し前までは日本有数の穀倉地帯であり肥沃な大地の上を穏やかな風が通りすぎる風土であった。
 そのため奈良時代から中世にかけて,この付近には大和畿内の大きな寺々が寺領を有していて,奈良の都に引けを取らないような文化が育まれていたようである。

深い山の中に

 朝光寺は,この播磨平野の北東に位置する。
 山を切り開いた駐車場に車をとめ,少し分かりにくい表示に従い森に足を踏み入れると,やがてせせらぎの音が聞こえ始める。
 その音がする方に眼をやると,なかなか見応えのある滝が目に入ってくる。
 「つくばねの滝」と案内に出ている。その案内板の先から,山門への急な階段が始まる。

 60段あまりの階段には陽も届かず,辺りは森の冷気に包まれている。
 朝光寺は幽谷の中に忘れ去られた古刹のようだ。

 それを思わせる倒木が階段の中程に横たわる。台風のせいであろうが,通行の障害にはならないのでそのまま放置されている。

 その倒木を潜るようにして登ってゆくと仁王門の軒の裏が見え始める。
 門の中では仁王が入山者に眼光鋭い視線を投げ守りを固めている。しかし,その位置からは森の木々の他は何も見えないはずだ。山の形すら分からない狭い視界の中で仁王達は千年もの間この寺を守ってきたのだろうか。
 
 すばらし山門である。眼をやると板戸も柱も朽ちかけ始めている。山門は森に帰ろうとしている。

 国宝本堂はそんな門に守られた方七間,寄棟造,本瓦葺きの堂々たる巨躯を見せる。床が地上から高いところに造られ全体が高床の上に乗っているため見た目にも美しく清潔そうである。
 人一人いない境内には,幽かに滝のせせらぎが雨音のように聞こえてくるだけである。

左手につくばねの滝
急な階段の先は山門。頭上には倒木が横たわったままである。
山門の奥に国宝本堂をみる。
 
  
  

三草山合戦

 この朝光寺を含め一乗寺(bX6)、浄土寺(bX7)と播磨の国宝を訪ねるにはレンタカーがお薦め。
 バス等の公共交通では本数が少なくロスが大きい。
 新神戸から鈴蘭台を経由し,神戸電鉄粟生線で大村まで出て,そこで車を借りると運転時間も僅かですむ。
 浄土寺,朝光寺,一乗寺が半日あれば拝観可能だ。
 時間があれば三草山と西国巡礼25番札所清水寺にも立ち寄りたい。

 三草山は,あの源平合戦の主戦場の一つ三草山合戦の行われたところ。
 平家物語巻第九には,義経を総大将とする一万騎の源氏軍が「おおたいまつ」と呼ばれる民家や野原に火を放ちその明かりにより夜討ちをかけるという戦法により,三千騎の平家軍を逃散させたとある。

 かつて戦場であったあたりに佇むとこのような辺鄙なところでなぜ戦が行われたのか不思議であるが,この辺りは瀬戸内の山陽道とともに京都から丹波を経由して播磨に抜ける街道筋の一つであり,そう考えると特に不思議でもない。 

花山院と西国三十三カ所

 この三草山の北東に西国三十三カ所25番札所清水寺がある。
 西国三十三カ所の選定者には諸説があるも,有力とまでは言えないが,面白みのある説は「花山院」が定めたというものである。
 
 奇行愚行の持ち主花山天皇は騙されるようにして帝位を譲り,その後周囲に勧められるまま一念発起して出家する。そしてここでも勧められるまま諸国諸寺を巡り歩いて西国三十三カ所を定めたというもの。

 朝光寺はこの西国三十三カ所の中に入っていないが,播磨平野には他に26番の一乗寺(bX6),27番の円教寺があり,番外として三田(さんだ)に花山院菩提寺がある。
 趣のある寺々である

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