国宝建造物編100| 名称 | 吉備津神社(きびつじんじゃ) |
| 所在 | 岡山市吉備津 |
| 起点駅・目安時間 | 岡山駅・30分 |
| 経路 | JR吉備線吉備津駅下車徒歩10分 |
| 国宝建造物 | 1 本殿及び拝殿 |
| 国宝彫刻等 | なし |
| その他の国宝 | なし |
| お薦め度 | ★ |
| 公開情報 | 平成21年まで改修中 |
2つ箱を並べただけの電車が岡山駅から出ている。ドアも電動開閉式であり,自らボタンを押さないと降りられない。そんな電車に20分ほど揺られると吉備津駅に到着する。
駅から線路づたいに岡山方面に少し戻ると,大きな鳥居が目に入りそこから吉備津神社の参道が始まる。
その参道の先は小高い山となっていて「吉備中山」と呼ばれている。
その昔,近くの片岡山に鬼が住みつき城を築き,悪行の限りを尽くした。温羅(うら)と呼ばれたその鬼を退治するために吉備津彦が朝廷から派遣される。幾多の戦闘を経て吉備津彦が勝利する。これが桃太郎伝説のルーツと言われる温羅(うら)伝説である。吉備津神社はこの吉備津彦を祭神とする。
そんなことを思い出しながら田圃の中を10分ほどで歩くと吉備津神社に到着する。
かつて栄えた門前町が旧街道沿いに残されている。のどかな町だ。




急な階段を登ると薄暗い拝殿に出る。柱の雰囲気から国宝・拝殿,本殿だと分かる。しかし,不自然な暗さが気になり,ひとまず外に出る。すると暗かった理由が判明する。
はるばる訪ねてきたのに,吉備津神社お前もか!である。
ブルーシートやトタン屋根に覆われて,別名「吉備津造り」とも呼ばれる比翼入母屋造りの壮麗な,可憐なというべきか,社殿は観ることができない。
しかし,さすがに足利義満が再興した神社だけのことはあり,規模は大きいようである。
改修の終わる平成21年まで,探訪はお薦めできない。

しかし,この本殿の裏手に回ると長い回廊が山の斜面に沿って設えられていて,そこを数分下りると御釜殿に出る。御釜殿は,吉凶を占うときに使われる吉備津の釜が祀られていることで有名である。
その占い方法は,水を満たした釜を茹で,その際に発する音で吉兆を占うというものであるが,「幸あればゆたかに鳴り,禍あれば荒らかに鳴ろう」との,丑寅御崎の祭神,温羅(うら)の託宣にもとづいている。
この点,上田秋成「雨月物語」(後藤明生訳・学研M文庫)では,禍が起こる場合は,釜は鳴らない,となっているが,物語の粗筋は次のようなもの。
昔,この神社の神主の娘に縁談が持ち上がる。神主は,この縁談についてこの釜で占うことにする。茹で上がり釜の鳴るのを待つが,釜は鳴らない。しかし,世間のしがらみもあり,思案のあげく,これを無視して,娘を嫁がせることにするが,案の定・・・・
雨月物語は,上田秋成の作になる短編集であるが,怖いというより怪奇な話が多く,古典の中では,江戸時代に書かれたせいか古語も平易で,比較的読みやすい。
ちなみに,本の名の雨月とは,満月ではあるが,月の出ない夜のことである。
この秋成,雨月物語の他にも様々な書を残している。その一つに「去年の枝折」(こぞのしおり)があり,その中で芭蕉について,「ゆめゆめ学ぶまじき人の有様なり」と,痛烈に批評している。
金持ちの芭蕉には,西行,宗祇のように漂泊に身を置く必然性がない,というのがその理由のようだが,秋成の時代に芭蕉の情報がどの程度一般に流布されていたのか,江戸時代の情報伝達具合を知る上で非常に興味がある。
少なくとも,現代の我々が芭蕉に抱くイメージはまだ醸成されてはいなかったようである。
もっとも,最近その芭蕉の俳聖なるイメージに対し嵐山光三郎が「悪党芭蕉」というセンセーショナルな書名で,かかんに挑んでいる。挑んでいると言っても,氏は大の芭蕉フリークで,これまでの研究成果がいかんなく発揮された書物となって泉鏡花文学賞も獲得している。悪党,との所以は,要は「おかま」だった,ということだが,果たして真偽のほどは?
杜国という美青年弟子との二人旅と鷹と菊がキーワードとなっている。
秀吉の水攻めで名高い高松城城趾はここ吉備津神社からすぐ。表題歌は,秀吉の水攻めに合い,将兵の助命と引き替えに城主清水宗治が自害した際に詠んだ辞世の句。本能寺の変をひょんなことから知った秀吉は,持久戦水攻め,兵糧攻めから急ぎ和平に作戦変更して,明智光秀を討つべく京に攻め上がる。世に言う「中国大返し」である。
堤を切り,いくたの田畑を水没させ城の周囲を水で囲んだ「水攻め」。そこに宗治を乗せた一艘の舟が漕ぎ出す。辺り一面の水を浮き世に見たてて宗治が詠む。
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