国宝を訪ねて国宝建造物編111

住吉神社

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名称 住吉神社
所在 下関市一の宮住吉
起点駅・目安時間 新幹線新下関駅・10分
経路 新下関駅から車10分
国宝建造物 1 本殿
国宝彫刻等 なし
その他の国宝 なし
お薦め度 ★★★

美しい社

 新幹線新下関駅から車で10分ほどのこの社は,なだらかな山の中腹にある。
 鳥居からは急な石段が眺められ,その石段を登ると僅かな平坦地があらわれる。
 その中に小振りの太鼓橋が設えてあり,何やら大阪の住吉さんが思い出される。その太鼓橋から先の方に美しい三つの本殿が祀られているのが分かる。
 銅板葺きの屋根には,所々アクセントのように緑青の薄緑色が広がり陽に輝いている。
 また,本殿を囲む回廊の屋根の檜皮にも古色蒼然とした風合いがあり太古の息づかいが聞こえてきそうである。

 寺院と比較して神社の建築様式は一般に,単調で変化に乏しい。その原因は,やはり神社本殿のルーツが日本古来の穀倉にある点に求めることができるだろう。

 しかし,この社は,そんな数ある単調な国宝神社の中でも最も美しい社の一つではないかと思われる。
 ただ,惜しむらくは山の中腹にあることから,境内が狭くその分荘厳さに欠ける気がするのは残念である。

紅い欄干の橋を渡ると階段がはじまる。
階段の奥に拝殿らしき姿がうかがえる。手入れの行き届いた神社である。
本殿,神々しくさえある。
本殿,破風が美しい。
朱塗りの拝殿の正面を斜めからみたところ。
松も美しい

三韓征伐

 海の神を祀るこの社のご神体の一つは神功皇后である。住吉三神が皇后に神懸かりして,皇后は無事,三韓を征伐し,その戦勝を感謝して大阪の住吉に三神を祀る。これが今の住吉大社(bW5)で,この住吉大社はそれが全国に分布した内の一つ。
 三神とは底筒男命,中筒男命,表筒男命のことで,三韓とは当時朝鮮半島で覇を競っていた馬韓,弁韓,辰韓の三国である。

 海の神を祀る割には海から大分離れていて,やや奇妙な気がするが,かつては海岸近くに祀られていたのが隆起により丘にあがったと考えられる。
 しかし,余りにも海から離れすぎているので,果たして本当に海に面していたのか疑問だが,確かに大阪の住吉さんも現在は海から大分離れている。また,後に大阪城となった石山本願寺も大阪湾を背にして建てられていたという。
 となると,この神社はそれより1000年も前にあったのだから,当時は海に面していたとしても不思議はないだろう。

現代に連綿と引き継がれる和布刈神事

 この社の神事の一つに,旧暦1月1日に行われ多くの観光客の胸をときめかせるる「和布刈神事」がある。
 もっとも,厳冬のさなか海岸からワカメを刈り取る和布刈神事は,その情景を想像する限り海に面していないと成り立たない神事のように思われるが,山腹の社で行われるこの神事は,一体どのようなものだろうか。

 和布刈神事は,今では対岸の門司の先端に鎮座する和布刈神社のそれが有名である。

時間の習俗

 この神事がプロローグとなる小説に松本清張の初期の推理小説「時間の習俗」がある。清張の代表作の一つ「点と線」で活躍した刑事コンビがここでも事件を解決する。しかし,今読み返してみると,当時としてはともかく現在では,推理小説としてとてもかなり物足りない気がする。

 奥多摩で業界紙の社長が殺害される。数十人いた事件関係者の中に,被害者の死亡推定日時に,その頃は九州にいたと回答した者がいた。
 主人公の刑事は,あまりにも遠くにいた,というただそれだけの理由で,この男が怪しい,何らかの作為がうかがえる,と「推理」(邪推であろう)し,動機の捜査も後回しにして,執拗につけ回す。

 休暇でもとって自分を納得させるための個人的な捜査ならともかく,組織を動かして捜査してしまう。全くの見込み捜査であることは否めないが,幸いにしてその男が「真犯人」であることが判明する。

 作中の和刈神事の描写は臨場感が溢れている。
 玄界灘から吹き荒れる2月の風の中,荒れ狂う海峡に望む白装束の神官達の姿が目に浮かぶようである。

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