国宝仏編№16

国宝を訪ねて

清凉寺

清凉寺案内

山号・寺号 五台山清凉寺(せいりょうじ・しょうりょうじ)
所在地 京都市右京区嵯峨釈迦堂
最寄駅・目安時間 新幹線京都駅から40分
経路 JR山陰本線嵯峨嵐山駅下車・徒歩15分もしくは京都駅からバス
国宝建造物 なし
国宝仏 阿弥陀如来及両脇侍像等 2件4軀
その他の国宝 1 絵画
秘仏・公開 霊宝館は春(4,5月)と秋(10月,11月)の特別展期間に開館  

清凉寺の国宝仏2件

仏像名 安置場所 備考
阿弥陀如来及両脇侍像 霊宝館 3軀
釈迦如来立像・像内納入品 本堂・霊宝館 1軀・像内納入品

夏の嵯峨野

 嵯峨野と聞くと竹垣で作られた小径がすぐに思い出されます。夏ともなると,時折,竹林をざわつかせながら,涼やかな風が小径の向こうからやってきます。嵯峨野の散策に最適な季節は,意外と夏でしょうか。洛中の暑さを避け,竹林に涼を求めながら,二尊院,落柿舎,常寂光院等を巡るのも良いかも知れません。
 しかし,そこに清凉寺を加えることはできません。なぜなら清凉寺は,場所的にも嵯峨野のメインコースからは大分離れていますし,清滝街道に面していることから車の往来も多く,また辺りは開発が進んでいて,竹林をはじめとする嵯峨野の風情は見当たりません。
 事実,境内に観光客の姿はほとんどなく嵯峨野の情趣からは程遠い城の庭のような境内が広がっています。砂利が敷き詰められた境内の所々に松が植えられてはいますが,木陰がほとんどありません。
 そんな境内の正面に本堂,その右手に阿弥陀堂,さらに奥に美術品を展示収蔵する霊宝館があります。境内にある豆腐料理店「竹仙」の裏手あたりです。

清凉寺の歴史

          

 嵯峨釈迦堂と呼ばれる清凉寺は,もともとは嵯峨天皇の皇子左大臣源融(みなもとのとおる)が建てた山荘棲霞観(せいかかん)がその前身です。
 融の没後,棲霞寺と名を改められた後に,寺内の釈迦堂に,釈迦如来を安置,仮寓して清凉寺と称しました。
 その後,清凉寺は融通念仏の大道場として栄えますが,棲霞寺は清凉寺内の阿弥陀堂にその名を残すだけとなりました。
 なお,源融は光源氏のモデルとも言われる羨ましい人物。

本堂

  

釈迦如来立像

 清凉寺の本尊釈迦如来像は山門の真正面にある本堂に安置されています。
 右手の掌を前に出し指を立てています。左手は下に垂らし掌を前に向け指も伸ばしています。その指には爪も見られます。
 普段は遠目からしか拝見することができませんが,毎年4月19日に住職が本尊の身を浄める「お身拭い式」があり、その時だけは本尊を近くで拝むことができることから、それを一目見ようと多くの人が集まります。
 なお,この像は東大寺の高僧奝然が宋から請来したもので,「三国(インド・中国・日本)伝来の像」と呼ばれています。

清凉寺式釈迦

 この釈迦如来像には、いくつか特徴があります。
1,衣を両肩にかける通肩(つうけん)の型である。
2,衣紋は首まで巻きそこから同心円状にしかも左右対称になって下がっている。
3,頭髪は縄で渦状のものを造り、耳には水晶を嵌め込む,等です。
 これらの特徴を備えた釈迦如来像を「清凉寺式釈迦如来」と呼び,平安時代後半から模刻が盛んに行われ,現在も全国に百軀近く残されています。

像内納入品

                            

 昭和28年のこの釈迦如来立像の調査の際、体内から多数の像内納入品が発見されました。布製の胃、心臓、肝臓、などは解剖学上も貴重な発見であると言われています。そのため「生身の釈迦」とも呼ばれています。
 また、それらの中には、臍の緒もあり、付いていた注意書きから、宋に渡りこの仏像の製作を依頼し持ち帰った奝然のものとされています。ちなみに,現存する日本最古の臍の緒,とのことです。その他には,版画や交友録,各種名簿,中国の古銭等も収められていました。
 なお、これらの像内納入品は霊宝館に収蔵され、春と秋に観覧できます。 

霊宝館

阿弥陀如来及両脇侍像

 本堂の右手横に阿弥陀堂があり,さらにその奥に霊宝館があります。霊宝館に入ってすぐ左に裳掛座の上に鎮座する3軀の仏様が並んでいます。
 こうごうしいばかりのお姿です。
 中尊は,いわゆる「弥陀の定印」を結んでいます。腹の前に両手を置き親指と人差し指で二つの輪を作ります。この印は,阿弥陀が瞑想に入っていることを示しています。両眼はしっかり閉じられていますが,面長で端正な顔立ちをしていることから,源融をモデルとしているとも言われています。ということは光源氏のモデルでもある,ということになります。豪華な光背にも自然と眼がいきます。
 清凉寺阿弥陀堂の創建当初からの本尊です。
 両脇侍像は右に観音菩薩,左に勢至菩薩が配されています。こちらの2像も眼は閉じられています。しかし,表情は,阿弥陀像と同様穏やかです。こちらは両像とも複雑な印を結んでいます。
 これら3像は,檜材を用いた一木造の木像です。妙な輝きもなく全体にくすんでいてころよい風合いです。像高は3像とも170センチ前後です。

その他の国宝

十六羅漢像

 十六羅漢とは仏涅槃の時,仏法の護持を命ぜられた16人の聖者のことです。北宋時代の羅漢図として唯一現存するものです。全部で16幅あります。
 霊宝館に収蔵され、春と秋に観覧できますが,展示されるのは模写です。しかし,勢いのある筆致の雰囲気は十分に伝わってきます。
 なお,東博,京博に一部ずつ寄託されています。

近くに

 嵯峨の付近には国宝を公開している寺院等はありません。
なお,清凉寺のすぐ脇に京都を代表する豆腐店「森嘉」があります。

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