国宝仏編№19
| 山号 | 仏華林山宝菩提院願徳寺 |
| 所在地 | 京都市西京区大原野南春日町 |
| 最寄駅・目安時間 | 新幹線京都駅から30分 |
| 経路 | JR向日町駅からタクシー15分(約1700円) |
| 国宝仏 | 菩薩半跏像 1件1軀 |
| 国宝建造物 | なし |
| その他の国宝 | なし |
| 秘仏・公開 | 公開 |
| 仏像名 | 安置場所 | 備考 |
| 菩薩半跏像 | 本堂 | 1軀 |
京都駅からJRで大阪方面に向い2つ目の駅向日町(むかいちょう)で下車します。バスの便は,余り良くないのでタクシーで。しかし,宝菩提院あるいは願徳寺と言っても運転手は多分分からないと思いますが,「花の寺へあるいは勝持寺」,と言えば十分です。タクシーで15分ほどなだらかな丘陵地帯を登っていきます。眼下に向日町の町並が見えるようになると,花の寺勝持寺と宝菩提院願徳寺の山門前に到着します。

願徳寺は,花の寺として有名な勝持寺のすぐ前にある天台宗の寺です。もとは向日市にあったものが,昭和になって現在の地に移転しました。
国宝本尊如意輪観音は,勝持寺に身を寄せていましたが平成になって戻ってきました。

このお堂の中に国宝菩薩半跏像が祀られています。
檜の一材から彫り出されています。
一見すると,ブロンズ製か,と思わせるほど彩色はありません。
また,細部にまで緻密な造形が施されていて,中国風の檀造を思わせる造りとなっています。
ちなみに,「檀造」とは白檀などの肌理の細かい材を用いて,それに細密な彫りの技術を加える製法のことです。
住職が,灯りを入れて簡単な解説をしてくれます。
お話を伺いながら見上げると,その顔つきは,切れ上がった目に黒石が嵌め込まれするどい眼差しとなっています。しかし,頬のまるみが自然に近く,表情の完成度には高いものがあり,用いられた材や製法等から渡来仏もしくは渡来人の製作になると考えられています。
寺が言うようになるほど「凛とした観音様」です。
この仏様は,如来でもなく明王でもないことから,菩薩と考えられますが,菩薩にも観音,至勢,如意輪と多くの種別が可能です。一体,どの菩薩でしょうか。
学術的には,京都広隆寺(国宝仏編№12)の弥勒菩薩と多くの点で類似していることから弥勒菩薩と考えられています。
この点,寺では,如意輪観音と伝えられている,としていますが,その理由は,恐らく座り方が如意輪観音によく似ているから,というものであったと考えられています。 しかし,如意輪観音として最も著名な大阪観心寺(国宝仏編№40)のそれを見ると,座り方としては確かに半跏ではありますが,片膝を立て手を後に回し支える「輪王座」と呼ばれるもので,この像とは大分異なります。
これと全く同様の論争が,奈良中宮寺(国宝仏編№34)の菩薩半跏像にもあります。
この仏像の特徴は,何と言っても,その衣紋です。これほど複雑にしかも流れるように造られているのは,数ある国宝仏のなかでも一番と思われます。肩から流れ出たものが一旦腹部で隠れまた膝の辺りで現れる,といった具合です。
また,この像は,印相や半跏の膝の曲げ具合等が,通例とは,左右逆になっています。この辺りの事情を考えるのも興味深いと思われます。


この願徳寺の近くに,と言うよりすぐ後ろに「花の寺」として名高い勝持寺があります。勝持寺は,西行ゆかりの寺としても知られています。
西行は、北面を警護する武士として将来を嘱望されていましたが、妻、子供を捨て若くして出家、諸国一見の僧として放浪の旅に出ました。
地元では桜が美しい所として知られていたこの地に西行が一時庵を結びます。それにちなんで後に,西行桜と呼ばれる桜もあらわれました。
表題歌は,西行が勝侍寺で詠んだ歌と言われていますが,この歌にまつわる能が「西行桜」です。
人が群れ騒がしいのが桜の科(とが),と詠んだ西行に対し,それは聞き捨てならない,としてシテの桜の精が恨み言を言います。
ちなみに,今でも背の高い西行桜が残されています。
寺は,西京区のはずれに位置し,向日市の町並が遠くに望まれる小高い丘の上にあります。西行が隠栖した頃も遠くに里が見渡せたことと思います。
西行桜と標示があります。背の高いしだれ桜です。
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