国宝仏編№28

国宝を訪ねて

薬師寺

薬師寺案内

山号 薬師寺
所在地 奈良市西ノ京町
起点駅・目安時間 新幹線京都駅から1時間
経路 近鉄橿原線西ノ京駅から徒歩
国宝建造物 2 (国宝建造物編№74) 
国宝仏 薬師如来及両脇侍像等 3件7軀
その他の国宝 4 絵画・考古等 (その他の国宝編№46
秘仏・公開 公開

  

国宝・薬師如来座像

薬師寺の国宝仏3件

仏像名 安置場所 備考
薬師如来及両脇侍像 金堂 3軀
観音菩薩立像 東院堂 1軀
僧形八幡神・神功皇后仲津姫命坐像 奈良国立博物館 3軀

薬師寺の歴史

 天武天皇が鵜野皇女(うののひめみこ・後の持統天皇)の病気平癒を祈願して建立したのが薬師寺の前身本薬師寺です。完成までに天武,持統,文武と天皇三代の期間を必要としましたが,平城遷都とともに現在の地に移転しました。
 西ノ京駅から歩いてすぐです。

金堂

薬師如来及両脇侍像

      

薬師如来座像

薬師如来及両脇侍像と老修行僧

 中尊は,丈六の坐像で,鍍金はほとんど失われ黒褐色をおびています。
 均整のとれた体つきは,世界のブロンズ像の中でも屈指の名作と言われ,天平様式の父」と呼ばれています。
 左手に薬壺を持つ後世の薬師如来とは異なり,施無畏印,与願印を結んでいます。左右の日光菩薩,月光菩薩は,いわゆる三曲法の典型例と言えます。

三曲法

 顔,腰,足にひねり等を加えて傾きの方向を三回変えて,腕,指先等に流れるようなラインを演出し,体全体をしなやかに見せる技法のことです。
 左脇侍の日光菩薩を例にとると,まず顔を中尊の方,すなわち右に向けさせ,次に腰を同じ方向にひねり,足は右足に重心を置き左足は「やすめ」の格好となります。

宣字座(せんのじざ)

 中尊が乗っている台座が宣字座です。
 四角の壇の側面には様々な神や動物,想像上の生き物,植物等が描かれ,この時代の世界との交流やその影響が想像されます。全体として国際色豊かなものとなっています。

制作年代論争

 平城京遷都とともに薬師寺も移転することになりましたが、この薬師如来の制作年代については,本薬師寺から運んだ(白鳳時代),あるいは平城京移転後に作り直した(天平時代)と争われることになりました。
 白鳳時代とする説も有力ですが,やはり鋳造技術の完成度の高さから天平時代の制作と考えるべきと思われます。

 その理由を少し詳しく述べてみます。
 薬師三尊の製作年代が白鳳時代だとすると,天武,持統朝と考えられますが,その頃に造られたことがハッキリしているのが,山田寺の仏頭(現在,興福寺国宝館蔵)です。そしてこの仏頭の本体である丈六仏の製作には,天武,持統が深く関わっていたことは歴史上ハッキリしています。
 一方,薬師寺の創建にもこの二人が深く関わっていたことはすでに述べたとおりです。
 となれば,当然,二つの仏像は同じ官営造仏機関により造られたと推測されます。しかし,二つの仏像の間には,例えば,金銅の厚さが均一か,といった点一つとっても,鋳造方法やその技術力の点で明らかな差があるのです。
 完成度の高い像であることから時代が少し下がっていることが推測されます。
 なお、この本尊は印相を結んでいて薬師如来の特徴である左手の上に薬壺が在りませんが、薬師如来と薬壺は、平安時代に入ってからの造像に多く観られるようです。 

この国宝仏のここをみる

 ■三尊の統制のとれた配置や脇侍の三曲法等この仏達には観るべき所が沢山ありますが、ここでは中尊の手に注目します。と言うのは、中尊の手平や足の裏には輪宝,魚形,卍等の線刻が施されているからです。これは仏の三十二相のうちの「手足千輻輪相」、「足下二輪相」を表しています。
 仏の三十二相とは、仏には人間と異なる32の特徴があるとするもので、他には白毫相や広長舌相などが知られています。また手のひらの指と指の間に水かきのような膜があり手足指縵網相がハッキリ表現されています。
 この三尊は、現存する古仏の中では経典「大智度論」のいう三十二相を一番忠実に再現していると考えられていますが、残念ながら角度的にそれら全てを確認することはできません。
 なお、足の裏は、講堂に展示されている国宝仏足石に同様の紋様が刻まれています。そこで確認するとよいでしょう。
 ■また、もう一つ本尊の座る宣字座の意匠にも注目したいと思います。
 正面からは見えませんが,少し横から見ると台座の両脇に国際色豊かな線刻がみられます。葡萄をあしらった唐草文様や,鬼,四神をあらわす龍や白虎が刻まれあるいは彫りだされています。
 特に葡萄は、当時の貴重な薬とされていて、その意味で薬師如来を荘厳するに相応しい紋様と言えますが、原産地は遠くペルシャ辺りですので、この時代のその地方の文花、文明がこのような形で日本に伝わってきていたといえます。

東院堂

観音菩薩立像

 東院堂を代表する仏像,通称「聖観音」菩薩は、通常の観音と左右の手の位置が逆になっているところが,注目されます。
 また,裳から足の線をハッキリ透かして見せているのは、インドグプタ朝時代の造仏の影響を思わせます。
 像高は188センチとやや大きめです。

奈良国立博物館に寄託中

僧形八幡神・神功皇后・仲津姫命坐像

 薬師寺の南にある鎮守八幡神社(休ケ岡八幡宮)の所蔵ですが,現在は、奈良国立博物館に寄託されています。
 同博物館の本館第1室「大和の仏たち」にて展示されています。展示品は時折変更されますが,かなりの確立で鑑賞できます。
 3像とも40センチに満たない小像です。一木造りですが,白土を塗り彩色を施しています。鮮やかな色が残っています。
 これら3像は,平安時代になり神仏習合が一般化した時、仏像に倣い,神も像としてあらわすようになったものです。
 八幡神が僧の形をしています。後に造られる八幡神は,光背を負ったり錫杖を持ったりしていません。僧形八幡神の極めて初期のものです。
 2体の女神像の内,膝を立てているのが神功皇后,右膝を少し浮かせているのが仲津姫命像です。     

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