国宝仏編
インドで生まれた原始仏教に仏像はありませんでした。釈迦の死に直面した信者達は,生身の釈迦から逃れることができず,釈迦その人,釈迦の一部を大切にしようと考えました。
遺骨の崇拝です。
釈迦の遺骨を祀ることで釈迦とともに修業を続け悟りの境地に入りたいと願うようになったのです。
遺骨を祀る塔の誕生です。
塔の心柱に遺骨を納めて塔を拝むようになったのです。その塔を飾り付けるべく塔の内外の周りに絵を描きました。釈迦の誕生から涅槃の場面までを仏舎利塔の基壇に釈迦伝が描かれました。
その後,ガンダーラ地方に西域の美術が流入します。
ギリシャ彫刻です。
長い年月をかけ両者は融合されます。
仏像の誕生です。
仏像は、様々な素材をもとに色々な方法で造られます。
主な製法に,金銅造、鉄造、塑造,木造,石造,乾漆造,塼造,押出造り,等があります。
造られ方を知ってしまうのは、味気ない気もしますが、基礎知識としてポイントを押さえる程度のことは必要と思います。簡単な説明にとどめます。
渡来してきた仏像の多くは金銅造りです。
金銅造りは,まず土で仏像の形を造り,その後、蝋をかけて固めます。そしてその上からまた土を被せてさらに固めます。それを火にかけて土(仏像の形)と土の間に挟まった中の蝋を溶かし出します。
その結果、土(仏像の形)と土との間に薄い空洞が出来ます。そこに金銅を流し込み、その後、土(仏像の形)と土を壊します。後には、仏の形をした青銅部分が残ります。
日本では,奈良時代にこの製法により多くの仏像が造られました。しかし,製作に高度な技術を要すること,材料費が高価であること,重量が調整できないこと等から平安時代に入ると木造が主流になり,金銅像はあまり造られなくなりました。
この金銅造の代表作例は,薬師寺金堂薬師三尊像,奈良時代に開眼した東大寺の大仏などです。
なお,銅造と言う場合,銅と錫の合金である青銅製であるのが普通です。
また,この表面に鍍金(金メッキ)を施したものを金銅と呼びます。
塑造とは土造のことです。
白鳳時代から奈良時代にかけて盛んに用いられた方法で,代表作例としては,法隆寺五重塔塔本塑造,新薬師寺十二神将像,東大寺法華堂日光,月光菩薩像などがあります。
塑造の最大の特徴としては,細部も的確に表現できるという点でしょう。その長所に対し,弱点としては,もろいという点をあげることができます。
造り方は,材質の異なる土を三段階に分けて順次塗ってゆくというものです。
まず、台座の上に心木を立てそれに土の食いつきを良くするように荒縄等を巻きます。その上から「荒土」を盛りつけておおよその形を造ります。
荒土は小石混じりの粘土に藁を「すき」として混ぜた物です。すき,とはつなぎのことです。
次に籾殻や紙の繊維質を混入した「中土」でさらに外形を整えます。
最後に,雲母を含む土に紙を混入した「仕上げ土」で細部を整えます。
その後,仕上げに彩色を施したり,漆を塗布して完成です。
木造は,日本では最もポピュラーな製法です。
この製法は,一木造、一木割矧造、寄木造等に更に分類ができます。順次,特徴を説明していくこととします。
なお,材としては楠(くすのき)が多く用いられています。
インドで木造仏が造られはじめた頃から,香りも良く見た目にも美しい南方系の木材「檀木」が用いられましたが,日本では手に入りにくかったことから,これに比較的似た楠材が用いられました。他には,榧(かや),檜(ひのき)等も使われています。
まず,一木造りですが,一つの材から像の中心部を彫り出し,腕や天衣などの飛び出し部分は,別材から造り取り付けるものをいいます。
純粋な一木造りは,全てを一材から彫り上げることになりますので,その造形上の可能性に限界があることから,国宝級の仏像には,純粋な意味での一木造りはほとんどありません。
この一木造は,その欠点として将来的にひび割れが生ずる,という点をあげることができます。そのため,木心を取り去り内部を空洞にするのが一般的あり,これを内刳(うちぐり)と呼びます。
削り取り方としては,背中や後頭部から四角く穴を穿ち内部を削り取っていく,という方法ですが,これでは削り取る部分が限られ不十分です。
削り取った後は蓋のように別材を貼り付けます。
この一木造は,飛鳥時代から平安時代にかけて盛んに用いられており,代表作例としては,法隆寺夢殿救世観音像,広隆寺弥勒菩薩半跏像などがあげられます。
次に,一木割矧造(いちぼくわりはぎづくり)ですが,これは,一木造の際の内刳り技法がひび割れを十分に防ぎきれないことから,開発された技法です。
製作途中で材を二つに割り,内刳りを十分に施した後,二つをはりあわせ完成させるというものです。
代表作としては,福島の勝常寺薬師如来像があげられます。
最後に寄木造ですが,この工程は,一木割矧造とほぼ同じですが,一木割矧造が一本の木を素材とするのに対し,寄木造は異なる数本の木を素材とする点が大きく異なります。
二本,あるいは4本の材を縦に並べ,あたかも全体を一本の木に見立てて製作することになります。その主な狙いは,ひび割れの防止ですが,他に,運搬がし易くなることから大型のものが可能になったり,分業が可能になったり,と製作過程に大きな変化がもたらされました。
代表作例としては,平等院鳳凰堂の阿弥陀如来像があげられます。前後左右の4材矧ぎで,これが製作された頃に寄木造りが完成したと考えられています。
なお,この方法が完成されるには定朝が大きくかかわったと考えられています。
乾漆造とは漆を素材とする製法ですが,それには二つの方法があります。脱活乾漆造と木心乾漆造です。
まず,脱活乾漆造ですが,これは,塑造と同じように,始めに心木に土を付けておおよその形を造ることから始まります。
その後、その上から麻布を何枚も重ねて貼っていきますが,その際に漆を用いて定着を促進します。これを乾燥させたところで背面から切り口を入れ,中の土を取り出します。
空洞となったところに木枠を入れて安定させた上,背後を縫い合わせます。
仕上げに木屎(こくそう)漆を塗りながら成形していきます。
乾漆とはこの木屎漆のことを言います。
空洞が多く軽量なのが特徴ですが,麻布を何枚も重ねることから,鋭利な雰囲気をだすことは困難です。しかし,全体としては柔らかい感じがでることになります。
次に,木心乾漆造ですが、この製法では,脱活乾漆造が用いた土の代わりに木で心を作ります。また,麻布を用いることなく木心に対し直接木屎漆を塗り細部の造形をします。
特徴としては,脱活乾漆造に比べて重い,という点をあげることができます。
木心乾漆造は,脱活乾漆造の後,それを簡便にする方法として考え出されました。そのため,天平後期から多く用いられるようになりました。この木心乾漆造が盛んになったのは,高価な漆の節約とともに麻布の収縮に伴う変形防止にあったようです。
代表作としては,唐招提寺の千手観音,聖林寺の十一面観音があげられます。
雌形と呼ばれる凹状の型に土を押し込め,それを取り外し日陰で乾燥させ窯で焼きます。その後,彩色あるいは漆箔を施して仕上げます。
土を焼いてレリーフのように作り上げます。
一つの型から造るので量産が可能です。
凸状の原型に銅板等を載せそれをたたいて像を浮かび上がらせるものです。押出仏とも呼ばれます。
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