国宝を訪ねて 国宝建造物編34

西明寺

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(池寺とも)

国宝・西明寺本堂

山号・寺号 龍応山西明寺(池寺とも)
所在地 滋賀県犬上郡甲良町大字池寺
起点駅・目安時間 米原駅・1時間
経路 JR東海道本線稲枝駅・タクシー15分
国宝建造物 2 本堂・三重塔
国宝仏等 なし
その他の国宝 なし
推奨度 ★★★


紅葉の中の国宝・西明寺三重塔

湖東平野を訪ねる

 西明寺に向かうには県道脇の駐車場を利用し徒歩で名神高速を跨ぐルートとその名神を車で越えて別の駐車場に入るルートの二つがある。
 このうち、山門から入ることになる前者が正式なルートだ。できればこちらから入りたい。
 名神に掛けられた寺専用の橋を渡ると風情のある石段と土塀がはじまる。その上から季節により紅や緑の木々が顔をのぞかせる。中でも紅葉の季節は圧巻で,ここ西明寺は関西圏の紅葉名所の一つ湖東三山の中でも特に人気が高い。紅葉時には観光客は引きも切らない。

 湖東三山とは琵琶湖の東側に位置する鈴鹿山系が,湖に向かいなだらかな斜面を作る中腹辺りに開けた三つの寺のことである。
 琵琶湖周辺は古代より地味豊かな近江平野と水運及び陸路の要所であったところから政治の中心地にもなったりした。
 また,延暦寺が琵琶湖を見下ろすように君臨していることから,その影響力が及んだ社寺等も多く,名所・旧跡や色々な遺跡には事欠かない。ここ西明寺もそんな中の一つである。

紅葉の名所

 山系の西側斜面に創建された西明寺の石段は,僅かばかりの日差しも老杉に遮断され天気の良い日でもひんやりと寒いくらいだ。
 本堂に至る長い石段の左手には「不断桜」と呼ばれる老木のある庭園があり、右手には11面観音菩薩像も安置されている。
 それらに挟まれた広めの石段をゆっくり登ると,寺が二天門と呼ぶ巨大な山門が現れる。そのあたり、脇から迫り出すように楓の葉が頭上を覆う。それが木漏れ日にかざされると得も言われぬ美しさとなる。

本堂と三重塔

 斜面の狭隘地に建てられたためか本堂は,二天門の正面になく少し左手にずれている。そのため石段からは,二天門の中には本堂の右半分が見えるだけであり,二天門に立ってようやく本堂全体が見えるようになる。
 方七間と大きな堂は地に這うような実に堂々とした構えである。「見事」とはこの堂のための言葉であろうか。
 人が両手を広く真横に広げ両方の指先を少し上に向ける,ちょうどそんな格好だ。西方から届く陽の光が反りの美しい屋根の両端にチラチラしている。

 また、狭い境内の左手に西日を背にした三重塔が檜の木肌をむき出しにして佇立している。檜の無垢は年月を重ねると変色,劣化が甚だしいが,この塔はそんな檜の弱点を見事に克服し背後の森に溶け込ませている。
 総檜造りと言われるこの国宝三重塔は本堂とともに釘を全く用いずに建てられていると言われている。匠のプライドがそうさせたのであろうが,鉄錆の浮きだしが外観を損なわせることもなく,また,腐食もないことから建造物にもやさしい工法なのであろう。

景観スポット

 紅葉目当ての観光客の喧噪から逃れるように三重塔の裏山に登ると忘れられたような石塔が祀られている。ここまでは観光客も上がってこないので、境内のざわめきが嘘のようだ。ここから境内を見下ろすと本堂の屋根は陽光に輝き,紅葉した木々の間から見える三重塔はまるで燃え立つようである。

国宝本堂。内部は観覧できる。
組物が美しい三重塔
裏山に登るとこんなに素晴らしい三重塔が見られる。

旅のアクセント

すぐ近くには金剛輪寺(bR3)がある。

 帰りには琵琶湖に向かう。その途中,湖面に至る少し手前,安土山の麓に安土城趾がある。
 かつては宣教師らによってヨーロッパにもその名を轟かせた豪華な天守も今はただ西湖からの風が吹き渡る石垣を残すだけである。天主台までの約500段に及ぶ石段にかつての栄光を偲ぶよすががわずかに残されている。天主台跡からは,信長が愛した風景,鏡を置いた様な琵琶湖湖面上に遠く比叡,比良の連峰が望める。
 
 人わずか50年
 下天の内をくらぶれば
 夢,幻のごとくなり・・・・・
 
 天下布武の野望目前,49才の若さで本能寺に自刃。
 安土城もわずか4年で焼け落ちる。
 なお,天守閣とは信長の頃からそう呼ぶようになったと言われている。

 この,信長を題材とした傑作に
辻邦夫「安土往還記」(新潮社)がある。
 前科のあるイタリアの船乗りが,日本にたどり着く。ピストルをはじめとする様々な武器や航海術,ゲリラ的あるいは組織的戦法などの彼の知識を旺盛に吸収しようとする「大殿」信長。外国人の目を通して先取精神旺盛でありながら,しかも残虐無比の「大殿」の真実の姿に迫る。
 外国人船乗りの回想録形式をとった文部省芸術選奨新人賞受賞作。

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