国宝を訪ねて 国宝建造物編bT6

法界寺

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国宝・法界寺阿弥陀堂

山号・寺号 東光山法界寺
所在地 京都市伏見区日野大道町
起点駅・目安時間 京都駅・40分
経路 JR奈良線六地蔵駅バス20分 
国宝建造物 1 阿弥陀堂 
国宝仏等 1 阿弥陀如来座像
その他の国宝 なし  
お薦め度 ★★★

鳳凰堂を模した御堂

 日野は,京の町から少し離れた,丁度,京都と宇治の中間辺りにある。この日野に阿弥陀堂と阿弥陀如来座像の二つの国宝をもつ法界寺がある。
 法界寺へはJRあるいは京阪の六地蔵駅からバスに10分ほど揺られて,ごくごくなだらかな丘の中腹にむかう。
 
 禅寺風の山門を潜って石畳伝いに進む。境内が狭いのは一目瞭然だ。正面には近在の人々からは「日野のお薬師さん」,「乳薬師」として,人気がある薬師堂がある。そしてその正面のお堂に対し,やや斜めに,いささか不自然な向きに建てられているのが,国宝阿弥陀堂である。
 しかし,5間四方の宝形造,檜皮葺の重厚感溢れる建物である。
 
 そのまま外観だけを鑑賞することもできるが,ここは是非,受付で拝観料を支払い堂内を観覧したい。堂内には定朝作と伝えられる丈六の国宝・阿弥陀如来像が安置されている。
 
 懐中電灯の明かりの中に,阿弥陀如来座像とそれを取り巻く壮麗な天井絵が浮かび上がる。丸い光芒の中で見る如来は,頬がふっくらとして,平等院の如来とととてもよく似ていることが分かる。

 天井や小壁の文様は,暗くて見にくいが,眼を凝らすと飛天,唐草文などの彩色文様で飾られている。

日野氏の創建

 この法界寺は,日野資業(すけなり)の創建にかかる寺である。日野氏は藤原氏の傍流二流貴族であるがであるが,歴史の転換期に,主要な,あるいは,裏方的な役割を担ってきた。
 主なところでは,親鸞の輩出をまず挙げねばならないであろう。

親鸞生誕地・日野

 法界寺阿弥陀堂は,浄土に憧れた日野氏が建てたものであるが,親鸞はこの一族の出身であり,この地で生まれている。
 幼少の頃,親鸞は,この地から都での無益な戦乱,兵火を見ていたのかも知れない。そして,その光景は,親鸞の成長やその後の生き方に大きな影響を与えたものと思われる。
 
 正面の薬師堂の裏には保育園があり,そのさらに後方に親鸞誕生院があるが,ただでさえ狭い法界寺の境内をますます狭くしてでも建っているのは,そうした事情からだ。

正中の変と日野一族

 この親鸞の他には,親鸞の伯父宗業が平家打倒の兵を挙げた以仁王(もちひとおう)の思想的な師であったし,建武の中興の際の後醍醐帝の側近,日野資朝,俊基の兄弟もそうである。
 日野資朝,俊基は倒幕の謀議が知られるところとなり鎌倉に送られる。そして日野資朝は佐渡に配流される,「太平記」の冒頭を飾る出来事である。巻一「資朝,俊基関東下向の事」のくだりである。

応仁の乱の引き金・天下の大悪女

 日野氏には,さらには足利尊氏の側近となり足利幕府と深い関係を持った三宝院賢俊がいて,その賢俊の縁で三代義満以降足利将軍の妻は代々日野家から迎えるのが習わしとなる。その結果,やがて八代将軍義政の室に日野富子がなると,日野家の繁栄は絶頂に達する。まるで,藤原氏が天皇の外戚として権力を掌握したのと同様に,日野氏は将軍の室に入れることにより繁栄を手に入れる。

 悪女の代名詞にもなっている富子は,大名を2分し京の町を灰燼に帰した応仁の乱の引き金となった張本人と言っても好く,その戦乱のさなか事もあろうに,両陣営に金を用立て利殖に励んだと言われている。

方丈の庵

 この法界寺から少し丘を登ったところに「方丈石」,「座禅石」が置かれていて,鴨長明が「方丈記」をしたためたと言われる庵の跡がある。その庵を長明は「老いた蚕が繭を紡ぐごとき」と称し,そこで厭世生活に入る。
 
 方丈記は,格調高い和漢朗詠文で,世の無常を心地よい韻とテンポで一気に読ませる。その頃の学問的水準を示す格調の高い作品であり,その対比,対句が美しく,韻も心地よい。古典の中でも比較的読みやすいものの一つである。
 日野の地から,遠く,といっても歩いて半日くらいであろう京の町を眺めながら,長明は我が身の不遇を託つ。


 親鸞の生まれた年からすると,もしかしたら,鴨長明は親鸞とすれ違ったり,あるいは面識があったのではないだろうか?と勝手な想像をするが,残念ながら,長明は,1211年から1216年までこの地に住んでいただけであり,一方,親鸞(1173年ー1262年)は,1207年から5年間越後に流罪となり,その後関東に20年間とどまり布教したというから,その可能性はない。

日野薬師側から阿弥陀堂を見る。

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