国宝を訪ねて 国宝建造物編58

宇治上神社

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 もののふの 八十氏河の 網代木に
      いさよう波の 行く方知らずも

柿本人麻呂・万葉集巻三ー264
名称 宇治上神社
所在地 京都府宇治市宇治山田
起点駅・目安時間 京都駅・45分
経路 JR奈良線(快速)宇治駅・徒歩20分 
国宝建造物 2 本殿・拝殿 
国宝仏等 なし
その他の国宝 なし 
お薦め度 ★★

宇治の世界遺産

 京都の町から少し南に下る宇治市は,かつては,水路の要所として,奈良,京都,大阪を結ぶ近畿のまさに扇の要であった。
 この宇治市には,瀬音も豪快な宇治川を挟んで二つの世界遺産がある。
 それは何かと言えば,一つは当然といえば当然であるが国宝鳳凰堂でお馴染みの平等院であり,他の一つは,その対岸に位置するこの宇治上神社である。

 宇治上神社は,宇治川河畔にある宇治神社の横を少し上ったところにある。少しわかりにくいが案内を頼りに進むことになる。

 辺りはすぐ近くまで,町並みが迫って来ているが,背後は峻険な山々がひかえていて,静寂さはかろうじて保たれている。しかし,社域は狭小で,しかも町並みも目に入ることから,厳かさにはやや欠ける。それでも雨上がりの日などには,辺りから水煙を立ちのぼらせ,幽艶な中に,拝殿とその後ろの本殿とを浮かび上がらせる。

 立派な回廊付きの拝殿の後ろに回ると,蔀戸に囲まれた本殿がある。その格子の間から中を覗くと,内部には,山の斜面を利用した4つの御堂が設えてある。その屋根は本殿の屋根と一体になっていて,なかなか複雑な造りになっている。

正面入り口
仏徳山の森に囲まれた国宝・宇治上神社拝殿。この背後に国宝・宇治上神社本殿がある。
緩やかな斜面にたつ拝殿。背後からみたところ

宇治十帖と宇治川

 二つの世界遺産を擁する宇治市は,「源氏物語」ゆかりの地でもある。
 源氏物語の末尾の十帖は特に「宇治十帖」と呼ばれ,薫と匂宮と浮舟の三角関係を軸に悲恋が語られる。
 薫の恋人浮舟を忘れられない匂宮は,ある夜薫を装いその寝所に入り込み,それに気が付かない浮舟は匂宮を受け入れてしまう。

 その宇治十帖の中に,宇治川を隔てた対岸で催される宴の笛の音等が聞こえてくるとのくだりがある。他の川ならともかく,宇治川は瀬音激しく,それに掻き消されて対岸までは届かないような気がするが,昔は川幅が今ほど広くはなかったのだろうか。 
 宇治市は,この源氏物語をてこに,町おこしをし,「源氏物語ミュージアム」も造られた。

桐原山遊歩道

 この源氏物語には,宇治の山吹が紹介されている。そこで,今では山吹の花は宇治市の「市の花」となっている。この山吹の植栽が宇治上神社の横から裏山の仏徳山までつづいていて市民の遊歩道となっている。
 宇治の町を眺めながら登り切ると小高い山の上に出る。
 宇治川の奔流が陽の光にきらめき,その向こうには鳳凰堂が翼を広げて休んでいる。藤原一族がここを浄土と見違がえたのは,無理もないことである。

山吹や 宇治の焙炉(ほいろ)の 匂う時  芭蕉・猿蓑

 宇治と言えば山吹とお茶。
俳聖芭蕉による見事なこの二つのコラボ。山吹の色と茶の香りが巧みに香合されている。
 なお,焙炉とは茶をほおじる道具のこと。

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