国宝を訪ねて国宝建造物編118

豊楽寺

                            前の国宝再訪次の国宝訪問

国宝・豊楽寺薬師堂

山号・寺号 太田山大願院豊楽寺(ぶらくじ)薬師堂
所在 高知県長岡郡大豊町寺内
起点駅・目安時間 岡山駅・3時間
経路 土讃線大田口駅からタクシー15分
国宝建造物 1 薬師堂
国宝彫刻等 なし
その他の国宝 なし
お薦め度 ★★

行基開山

 川に沿った渓谷をドライブする時,時折,何故,あんなに高く,不便そうなところにあの人たちは住んでいるのだろうか,と思うときがある。JR大杉駅から大田口駅に向かう土讃線の車窓からはそのような景色が眺められる。
 
 吉野川が深くえぐった渓谷。そこに落ち込むような北岸の丘に豊楽寺は建つ。寺の歴史は古く,行基が724年に開山したと伝えられる。
 豊楽寺までは,カーブに次ぐカーブの山道をひたすら登る。途中,もしかしたら道を間違えたのではないか,こんな先に国宝建物があるとは思えない,と考え心細くなるが,所々に道標が出ているので,先にすすむことになる。

 そうこうするうち,寺の駐車場にたどり着く。本当に,何故,こんな高いところに寺を造ったのかと,不思議なくらいである。
 駐車場からは,薬師堂までは階段を下りることになる。そこにほんに,猫の額ほどの寺域に薬師堂と社務所が建っている。
 社務所には80を過ぎたと思われるお婆さんが,所在なげに座っていた。
 
 国宝薬師堂は,方五間平面でほぼ正方形の入母屋造,美しい反りを持った屋根は柿葺(こけらぶき)となっていて,森の冷気をいっぱいに含んでいるようだ。杉木立の間から数条の光が屋根までとどき流麗な屋根の反りを一層際だてている。
 仁平元年(1151年)建築の四国最古の木造建築物である。

日本三大薬師

 豊楽寺の本尊薬師如来は柴折薬師と呼ばれ,愛知県鳳来寺の峰薬師,福島県常福寺の嶽薬師とともに日本三大薬師の一つである。
 
 この柴折の名については,ふもとから登ってきた参詣者達が柴を折って休憩したことから付けられた,と言われている。確かに,この山道では,やっとの想いで到着したときには,薬師に参るより,まず,休憩をしたのであろう。本尊の霊験よりも,参詣路の大変さの方が近在の人たちの話題に上っていただろうことは想像に難くない。
 なお,この本尊柴折薬師は重文に指定されていて,参拝には事前申請が必要である。

「修業の土佐」の巡礼地

 豊楽寺のあるここ高知県は,四国八十八カ所では「修業の土佐」と呼ばれる。県内には,16ヶ所の札所があるが,豊楽寺はその中に入っていない。確かに,八十八カ所の多くの寺の本尊は観音様だ。しかし,薬師如来を本尊とする寺も,その中に無いことはない。
 空海の足跡は室戸岬から足摺岬まで県内の至るところに残されているが,その多くは,太平洋岸に集中していて,高知県内の八十八カ所巡礼地もその多くが海沿いの町にある。

 田宮虎彦「足摺岬」(講談社文芸文庫)は,自殺をしようとして東京から足摺岬までやってきた青年が,四国お遍路さんや行商人,彼らを相手に生計を立てている遍路宿の人々との交流をとおして,自分を見つめ直す,といった話。
 感受性豊かな揺れ動く青年期の想いがゆたかにつずられている傑作。

旅のヒント・山上の集落

 土讃線の本数は極端に少ない。近くを平行して走るバスもあるが,無論便は少ない。しかし,時間があるのんびりとした旅ならば,この二つの路線と駅前のタクシーを活用すれば,何とかなる。
 理想的なのは,レンタカーによる移動だが,この山道は,ガードレールもなければ,すれ違いもできない。途中,車に出くわそうものなら,坂道をバックして待避場所を探すことになる。
 カーブに次ぐカーブ,運転に自信が在れば別だが,そうでないと相当苦労する。
 自信の無い向きには,大田口の駅にレンタカー置いてタクシーで向かう,という方法も一考だ。 

                       ≪前の国宝再訪次の国宝訪問


国宝建造物編
8エリア  → 
関東・東北エリア 東海・北陸エリア 滋賀エリア 京都エリア
奈良エリア 大阪・和歌山・兵庫エリア 中国地方エリア 九州・四国エリア
国宝を訪ねてTop 国宝建造物編Home 国宝仏編Home その他の国宝編Home 国宝情報Home

copyright. 2002. kokuhoworld .all rights reserved