国宝を訪ねて国宝建造物編122

大浦天主堂

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 冬雨の 石階をのぼる
          サンタマリア
             

山頭火

    

名称 日本二十六聖人殉教者大浦天主堂
所在 長崎市南山手町
起点駅・目安時間 長崎駅・20分
経路 市電大浦天主堂下・徒歩5分
国宝建造物 1 大浦天主堂
国宝彫刻等 なし
その他の国宝 なし
お薦め度 ★★★★

国宝・大浦天主堂

雨の石段 山頭火

 電車通りからは,細い石段や坂道が沢山,山に向かって登っている。その中からあの辺りではと見当をつけて,石段を登り始める。
 長崎は,本当に石段の多い町である。階段もあれば,石畳もある。ここに雨が加わればこの上ない風情になるのに,と旅人の気安さから思ったりするが,実際この町に住むのは,難行、苦行の連続になるだろう。坂の上り下りだけで一仕事ある。

 そんな事を考えながら細く急な石階段を登り終えたら,いきなり大浦天主堂の横に出た。ゆっくり正面に回ると,坂の上に写真でよく見る天主堂が空に突き出ていた。
 大浦天主堂,正式名称は日本二十六聖人殉教者大浦天主堂よやや長い。日本人二十六の殉教者が西坂で磔にされた。その西坂を見守るかのような地に天主堂は建てられている。

 まるで特権であるかのように嬌声をあげる女子高生,おばさん達の観光客グループ。一般に彼女らにとって,観光地は,単に話す場所の変更にすぎないようだ。しかし,礼拝堂内に入るとさすがに静かになった。
 室内を囲む板壁や沢山の血涙を吸い込んだ椅子は入り口から差し込む僅かな明かりの中で黒光りしていた。静謐と冷気が,礼拝場としての威厳を高める。

 神は,いる。多くの民衆は,為政者の理不尽な横暴から逃れるようにして,ここに救いを求めたのであろうか。 
  国宝建造物中唯一の西洋建築物である。

                  西坂の上から降れり天の歌 (秋雨)



ステンドグラスは見どころのひとつ。



屋根には瓦が載せられている。



天主堂脇の坂上からは,とんがり帽子の先に海が見える。



夏の光りを跳ね返す甍のなみ。

神は,いる。ただ,沈黙しているだけ。

 遠藤周作「沈黙」(新潮文庫)は,日本で棄教したと伝えられる宣教師を探してキリシタン禁制下の日本に潜入した三人のポルトガル人宣教師(パードレ)の物語。
 「キチジロー」の手引きにより上陸に成功したパードレ達だったが,そのキチジローの裏切りにより役人に引き渡されてしまう。キチジローもかつては,キリシタンであったが,過去に簡単に「転んだ」経験がある。そのうしろめたさが心から離れないキチジローは,銀貨30枚で売り渡したパードレ達の引き立てられる姿を追い続ける。
 その頃の学問も素養もないありふれた日本人の心情をあますことなく描いた秀作。
 
 また,遠藤周作「日本紀行」(光文社知恵の森文庫)の後半は,長崎周辺のキリシタンゆかりの地を探訪する紀行文エッセイ。
「沈黙」の執筆動機と取材にまつわるエピソードを狐狸庵先生風の筆致で読みやすく紹介する。長崎の旅の友。
 なお,前半は,忘れ去られた古城をめぐる紀行文集。 
 

近くに



                   孔子廟

 この天主堂と電車通りを隔てて丁度反対側あたりに孔子72賢人石像の並ぶ「孔子廟」がある。
 その建物が中国風で絢爛豪華なことは別として,2階の故宮博物院,3階の中国歴史博物館は,中国の国宝級の陶磁器,工芸品,装飾品や中国各地の遺跡からの出土品等が展示されている。
 どうしてこのような貴重な品々がここに集められたのか,地元の中国出身者の努力なのであろうが,不思議なほど逸品が揃っている。

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