国宝仏編
日本には,多くの仏像が祀られていますが,鎌倉の大仏や、臼杵の摩崖仏のように屋外に安置されるケースは別としても、一般に仏様は、本堂や金堂の奥深くに安置されその姿もハッキリ見えないのが普通です。
ハッキリ見えないどころか人目に触れられない仏も沢山あります。また、その寺の僧侶ですらみたことがない、あるいは15年前に一度みたきり、といった仏も結構あるようです。これらは普通,秘仏と呼ばれています。
かつての代表的な秘仏は、法隆寺の救世(ぐぜ)観音像です。明治時代の文化財調査の際、フェノロサと岡倉天心が、ためらう寺僧の制止を振り切って,被われていた白布を取り除いた話は有名です。
その際、居合わせた僧達はあとの祟りを恐れて逃げ出した,と伝えられています。
そこまで極端ではないにしても、一般には公開されていない,あるいは一定の期間だけ公開されるといった仏は沢山あります。国宝仏の中にも沢山あります。ここではこれらを合わせたものを「秘仏」と呼ぶことにします。
このようにしてみてくると,秘仏にもいろいろなケースがありますが,寺の関係者さえ見ることができない仏では,無論国宝指定のしようがありません。このような秘仏には以下のような諸仏があります。
二月堂の風物詩,「お水取り」の主役に大小2軀の観音様があります。大観音,小観音と呼ばれていますが,その尊容は見た者がいない「絶対秘仏」です。
なお,この大観音の光背は奈良国立博物館に寄託公開されています。
根本中堂の本尊は薬師如来であるという。根本中堂の内陣奥,1200年絶やされることなく燃え続けている法灯のさらに奥に安置されています。
善光寺の本尊は公開されることはありません。その代わり,本尊のレプリカとでも言うべき前立本尊が7年(正確には6年)に一度公開されています。
この本尊は長い間秘仏とされてきましたが,権力者の前には無力でした。上杉と武田の争いの最中に甲府に持ち去られました。その後,一旦は里帰りしますが,秀吉によって京都に持ち出されます。本尊は,秀吉の夢枕に立ち里帰りさせるように告げます。秀吉は,京都で本尊の里帰りを見送りますが,その翌日この世を去ります。
浅草寺の本尊も絶対秘仏とされています。長い間,誰も見たことのない秘仏だったことから,実は存在しないのでは,との噂が絶えませんでした。しかし,明治時代には,国によって確認されています。20センチ足らずの火災にあって損傷している仏だったようですが,その後全く公開されていません。正確には,寺の関係者も未来永劫見られない,という取扱いなのです。
国宝仏で秘仏とされているのは以下のとおりです。これらの中には,さすがに寺の関係者も見たことがない,というような「絶対秘仏」的な仏は含まれていません。ただ,信者と接する機会が極端に低い,ということです。
これら以外でも,秘仏と呼ぶには相応しくありませんが,祖師像を中心に一年の内で一定の期間だけ公開されているものもあります。
なお,公開を全く前提としていないものは「非公開」としました。
| 都道府県 | 所蔵先 | 名称 | 公開日 |
| 京都府 | 東寺(西院御影堂) | 不動明王坐像 | 不定 |
| 仁和寺 | 薬師如来坐像 | 不定 | |
| 清凉寺 | 釈迦如来立像 | 4月19日と毎月2日間 | |
| 六波羅蜜寺 | 十一面観音立像 | 毎辰年11月17日 | |
| 大阪府 | 観心寺 | 如意輪観音 | 4月17,18日 |
| 葛井寺 | 千手観音 | 毎月18日 | |
| 奈良県 | 東大寺(法華堂) | 執金剛神 | 12月16日 |
| 東大寺(二月堂) | 十一面観音像 | 非公開 | |
| 法隆寺 | 救世観音像 | 春・秋 | |
| 法華寺 | 十一面観音立像 | 春・秋 | |
| 和歌山県 | 慈尊院 | 弥勒仏坐像 | 21年に一度 |
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