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書跡・典籍は,2010年1月現在全部で223件の国宝指定がなされています。
それらの中には,古事記や古今和歌集など歴史的にも著名な本が含まれていますが,4分の1はお経を写した写経本やその解説書で占められています。
なお、かつては,本,文書等,文字が用いられいるものの全てが「書跡・典籍」と一括りにされていましたが,平成18年から「書跡・典籍」と「古文書」の二つに細分化されるようになりました。
その分類基準は定かではありませんが,概ね,書道史上の遺品が「書跡」に,本の類が「典籍」に,その他書状(手紙)類が古文書に振り分けられていると考えられます。
では、具体的に書跡・典籍にどのようなものが指定を受けているか、便宜上「書跡」と「典籍」の二つに分けて説明します。
なお、古文書については、「古文書ホームページ」をご覧ください。
まず「書跡」ですが、小野道風、藤原行成筆と伝えられる古筆等が15件、禅僧の書である墨跡が24件の指定を受けています。
古筆の中には、搨王義之書(とうおうぎししょ)もあります。王義之は、東晋の高級官僚で書聖と呼ばれています。唐の太宗皇帝がありとあらゆる王義之の真筆(肉筆)を収集しました。そして、それを何を思ったか全部墓場まで持って行ったとされ王義之の真筆はこの世に存在しないと考えられています。
太宗は、真筆を身の回りにおいて楽しみ、しかし、一方で、模写専門の機関を設置、技術者を養成し、多くの模写本を世に送り出しました。
搨(とう)とは、模写のことです。
この搨王義之書は、別名孔侍中帖(こうじちゅうじょう)と呼ばれ皇室御物の喪乱帖(そうらんじょう)とともに日本に現存する王義之の搨模本二つの内の一つです。
なお、王義之の真筆は、鑑真の招来品の中に含まれていた、とも言われています。その真筆は、朝廷に献上され一旦は、正倉院によって管理されたようですが、その後、売却され行方不明になっています。もし、それが発見されたら、世界で唯一の王義之の真筆ということになります。
禅宗の僧が揮毫した墨跡は室町時代以降、茶の湯の流行と共に、もてはやされるようになり、千利休の頃には、それまでの山水や大和絵の掛軸に代わり、盛んに用いられるようになりました。
中国から将来されたものと日本の僧が書いたものとあります。
次に「典籍」としては、和書67件、漢籍56件、経典およびその注釈書等の仏典関係典籍が61件、それぞれ指定を受けています。
和書には、例えば、日本書紀、万葉集、土佐日記等があります。
漢籍には、例えば、史記、世説新語等があります。この漢籍は、遣唐使等の王朝、朝廷間の交流により下賜され、あるいは贈答品として日本に入ってきたケース、日明貿易等によって輸入したケース、鑑真の来朝に際して、あるいは空海等の帰朝に際して持ち込まれたケース等があります。
書跡・典籍は、無論、紙に書かれたものですが、この点を、仔細に検討してみると、漢籍では、真筆(肉筆)とそれ以外に分類できます。しかし、肉筆と言えば、例えば王義之の書を横に置き正確に模写したとされる、いわゆる臨書も肉筆です。また、王義之の肉筆を薄い紙を用いたり、あるいは光にすかしてなぞりながら、いわばコピーした、いわゆる搨模したものも肉筆と言えます。これらに対して例えば王義之自身が書いたものは真筆と呼ばれます。
漢籍の国宝指定品の中には、この他に、例えば、石碑等に墨を塗り、バレンで写し取った拓本や、石の代わりに木版を用い大量に作成する宋版と呼ばれる印刷物もあります。
しかし、これらの拓本や宋版も何らかの原本がありそれを刻むことによりできあがったわけですが、その原本が、上記のような真筆の場合もあれば、搨模により作成された場合もあるわけです。
漢籍の場合には、これらのいずれの方法により紙に残されたかを検討されることになるわけです。
これに対し、和籍の場合には、能書の真筆と著名人あるいは写経生等が臨書あるいは写経し、原本と同じ内容のものを写し取って紙に残っているだけですので事は単純です。
要するに、中国においては、真筆の伝承方法に、いろいろな技術が用いられましたが、日本においては、能書の真筆を搨模してまでも後世に伝えようとの意識は希薄だったと言えます。
経典には、阿弥陀経や法華経を書写したものがあります。
中でも、金剛場陀羅尼経は、現存する日本最古の写経本と言われています。
なお、厳島神社所蔵の法華経は、絵画に分類されている平家納経と書跡・典籍に分類されている法華経とがあります。
| 書跡・典籍名 | 所有者名称(通称) | 所在地 |
|---|---|---|
| 栄華物語 | 東京国立博物館 | 東京都 |
| 古今和歌集 | ||
| 土佐日記 | 前田育徳会 | |
| 今昔物語集 | 京都大学付属図書館 | 京都府 |
| 上宮聖徳法王帝説 | 知恩院 | |
| 日本書紀 | 奈良国立博物館 | 奈良県 |
| 日本霊異記 | 興福寺 | |
| 播磨風土記 | 天理大学 |
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